2018年7月11日水曜日

週刊「猫並日記」2018 (5.4)

2018年5月4日(金)
<隠れいし針みな出づる聖五月>というのは母の句。「聖五月」はカトリックの「聖母月」から発した初夏の季語。五月はカトリックの祝日である聖霊降臨祭と聖母祭があり、信者にとって重要な祭日が五月に多いことから生まれた季語、とのこと▶ぼくの通った幼稚園は聖母園というカトリック系の幼稚園だった。園児はキリスト降誕の劇をやることになっていて、ぼくはキリストの誕生を祝して贈り物を持って現れるという東方三博士のひとりを演じたが、人前でお遊戯めいたことをやるのが嫌で嫌でたまらなくて大泣きした記憶がある。そのぼくが、長じて、人前で歌など歌うようになったことは「三つ子の魂百まで」というのもあまりあてにならないということ▶ともあれ、その幼稚園の関係で母は一時期、カトリックの信者だったこともあり、「聖五月」という季語を使ったのだろう。隠れていた(紛失していた?)針がみな出てきた、というのはキリスト教的なひとつの奇蹟と母は解釈したのかもしれない。失せ物がみな出てくる「聖五月」の奇蹟。ちなみに母は女学校を出て洋裁学校に通った経験があって、針仕事はお手の物だった▶母が亡くなってちょうどひと月が経った。そして今日、5月4日は母の誕生日でもある。生きていれば94歳になる。母の誕生日をずっと長い間、5月5日と思っていた。最近、兄と母について話したりしたが、兄も長い間、母の誕生日は5月5日と思っていたようだ。母が子どもたちに嘘の誕生日を教えたわけだが、「なんでそんなウソを言うたん?」と聞くと、「そんなこと言うたかいねえ」と母がとぼけたのは、比較的最近のこと▶母の誕生日には(5月5日であれ4日であれ)、毎年母に電話をしていた。母が電話に出ることができなくなったここ5年くらいは手紙やカードを送ってきた。今日は心の中の「冥界電話」で天国の母に電話しようと思う。「母ちゃん、94歳の誕生日おめでとう!」

YouTube動画は、母が卒寿を迎えたときに贈った母の俳句写真集をスライドショーにしたもの。「母ちゃんの俳句をYouTubeにアップしたけえ、見てね」。天国では「冥界インターネット」でYouTubeでもなんでも見られることだろう。他の人に見てもらえば、母も嬉しいと思います。

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