2011年9月5日月曜日

狼と兎のゲーム





ちょっと前にやった仕事だが、講談社の「メフィスト」という小説誌の新連載『狼と兎のゲーム』(筆者は我孫子武丸さん)の挿画2点、久しぶりの小説挿絵。僕はこのジャンルが好きで、それは自由に描かせていただけるから。わりとせっぱ詰まった進行のケースが多く、「ダメだし」も滅多にない。

ただ、ギャラはね、「それなり」です。かつて、○金○ビ(「金魂巻」)で一世を風靡した故・渡辺和博の「主張と収入の和は一定である」という言葉、零細フリーランスには心に沁みる名言でありましょう。

あと、「連載」小説挿画依頼、ということで、零細系としては「やあ、ありがたい!」と喜んだが、メフィストは月刊誌ではなく、年3回刊の本なのでした。あ、文句を言える立場ではなかった。とりあえず、オシゴトはいただけるだけでありがたい。

さて、ストーリーの主題は、ドメスティック・ヴァイオレンス、児童虐待。ある家族の救いようのない、そうした実態に巻き込まれてしまう少年の目線で物語は展開する。

公に語ることはできないが、僕もセンセー時代、そうした家庭を見てきた体験がある。そして、その状況から子どもを救うことができなかった、砂を噛むような無力感は今でも心の奥底にずっしりと残っている。

虐待された子どもは発達に「ほころび」ができる、という説がある。発達障害は先天性の脳の機能障害だが、虐待を受けることにより後天的に発達障害の諸症状を持つことがある、と発達障害の専門家である杉山登志郎医師は警鐘を鳴らしている。

杉山医師はこれを「第4の発達障害」と呼び、トラウマ体験が脳に不可逆的な障害を残す、という説を唱えているが、僕も体験的にこの説にはうなずけるところがある。そして、早期の手だてが得られない場合、負の連鎖が延々と続くことになる。

日常的に子ども虐待のニュースが報じられるようになってどのくらいたつだろうか。『狼と兎のゲーム』、フィクションならではの「兎」の痛烈な反撃を、僕は期待している。

ちなみに「メフィスト」誌、送られてきたときは「わざわざプチプチに梱包されてるなあ」と思ったが、表紙が特殊な3D印刷なのでした。書店にあると思うから見てみて。

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