2011年7月15日金曜日

ukulele talk ーその2ー


「Oki-Luck! ウクレレ主義ウギ」から転載

さて、哀れな末路を辿ったマイ・ファースト・ウクレレだったが、元々ギターが欲しくてその代用としてのウクレレだったわけで、少年は壊れた(「壊した」と言うべきだな)ウクレレにはさして未練はなく、ほどなくギターを手に入れるのだった。欲しい、欲しいと思っていれば願いが叶うこともある。「欲しいに願いを」(*注1)というヤツだ。

ある日、「ウチにギターがあるから、あげようか?」と親戚のばあちゃんが言うのだった。以前、その家に下宿していた青年が置いていった、ということだった。僕はいそいそとその親戚の家に行き、整理ダンスの上にあった埃をかぶったギターをもらってきたのだった。赤茶サンバーストのスチール弦用のガットギター(*注2)。なかなか「イカした」ギターだったと思う。

しかし、そのギター、なぜかめちゃくちゃ弾きにくい。初心者故、それがなぜだか初めはよくわからなかったが、楽器屋さんのギターと比べてみて、少年はその原因を知ることとなった。ネックが思い切り反っていた(*注3)のだった。それならそれで、ボトルネック用のスライドギター(*注4)にするとかの発想は、当時はない。

普通の少年であれば、しょうがないとあきらめて弾きにくいギターをそのままにし、そのうちギター熱も冷めて、再びそのギターは埃をかぶる運命にあったであろう。しかし、僕はウクレレを改造して壊すような少年だったので、なんとかならんかと、ギターヘッドを左手にかけ、右手をギターのボディ下部に当て、手で力任せにネックの反りを矯正しようとした。「強引・マイ・ウェイ」というヤツですね。

そうしたら、「バリン!」と音がして、指板(*注5)下部、ボディと接合されていた部分が剥がれてしまったのでした。普通の少年であれば、その時点で「ああ、壊してしまった」とべそをかき、あの哀れなウクレレと同様、またも焚き付けの材料となっていただろう。

しかし、僕は創意と工夫に満ちた工作少年だったので、剥がれてしまった指板とボディの隙間に厚紙を挟み込むことによって、ネックの反りの問題をある程度解決することができたのだった。そこそこなんとか、弾けるようになったのだ。

あの「昭和歌謡ギター」をどのくらい使用していただろうか。やっぱり弾きにくいのは弾きにくかったと思う。指板とボディの間に挟み込む厚紙を徐々に増やしていき、最終的にはネックごとボディから離脱したのだったのではなかったか。記憶が定かではないが、結局、あの哀れなウクレレと同様、僕のファースト・ギターも焚き付け用の木くずとなってしまったように思う。

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*注1:「星に願いを」はディズニー映画「ピノキオ」の挿入歌。ウクレレ・ソロ楽曲としてもポピュラー。「ウクレレの神様」オータサンの演奏が好きだな。

*注2:ガットギター(クラシックギター)は、通常ナイロン弦を使用するが、同じようなボディタイプ(12フレットのネック、クラシックギタータイプのヘッド)でスチール弦を張るタイプのギターがあった。小林旭の「ギターを持った渡り鳥」なんかで弾かれていたようなギターというのか、「昭和の鉄線ギター」、または「歌謡ギター」なんて言われたりしている。ヤマハの「ダイナミック・ギター」がこのタイプ。

*注3:ギターのネックの反りはギターの代表的なプロブレムだと言ってよい。弦の張力でネックが持ち上がるのが「順反り」、その反対に弦がびたびたとくっついてしまうような反りが「逆反り」。ネックを目の高さに持っていって、目を細めながら「うーん、このギター、ちょっとネックが反ってるね」と言えば、そこそこギターに詳しいように見える。ああ、ウクレレにも同様な問題はあります。でも、ギターに比べればあんまりないかな。

*注4:「ボトルネック」というのは、訳せば「瓶の首」ですね。ブルースマンは瓶の口部分を切り取って、これを指にはめ、弦の上をスライドさせる奏法をしたりします。ボトルネックはそれ用のが楽器屋さんで普通に売ってます(金属とかガラスのとか)。ウクレレのボトルネック奏法、やればそれなりにできます。

*注5:「フィンガーボード」とも言います。ここのところにポジション・マーク(丸いマークね)が「インレイ」の技法で埋め込まれてたりする。もちろんウクレレにもある。安いウクレレのそれはぽろっと取れたりするんだよね。

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