2010年10月24日日曜日

サルビアの花



朝日be on Saturdayに早川義夫「サルビアの花」にまつわる話が掲載されていた。あの狂おしくも切なく惨めな「ストーカーまがい」の歌の歌詞は相沢靖子さんという女性によって書かれたものであった。

ファンであれば当然知っているようなことだろうが、僕は知らなかったんですね。ちょっと愕然としたね。もう、あれは徹頭徹尾オスの歌だと、雌猫を狂おしく求める雄猫の歌だと。あの執着と女々しさは男のものだと(「女々しさ」が男のものだ、というのは変ですが)。だから僕は疑うことなく「サルビアの花」は早川義夫が作詞作曲したものだと思いこんでたんです。

僕がこの歌を最初に聞いたのはヒットした「もとまろ」バージョンだったと思うけど、当時「もとまろ」の3人は女子高生、「*ヤング720」の勝ち抜き歌合戦で歌う曲がなくなって早川義夫には何の断りもなく「サルビアの花」を選んで演奏して、それがきっかけで30万枚ヒットした、と。

*僕がジャックスを初めて見たのもこの番組、♪ぼく、お●になっちゃった〜、テレビから堂々と流れてきたときは当時でもちょっと「おおっ」って感じだったな。あの頃は放送コードも緩かったのだろう。ま、生放送だったろうから流れてしまったらどうにもならんということはあったかもしれない。そんなわけでジャックス・オン・ヤング720はとてもよく覚えてます。この番組のせいでよく学校を遅刻しそうになった。

で、「もとまろ」は一枚だけレコードを出して解散、メンバーのひとりはレコードリリースから30年以上たった2003年にようやく早川義夫の「サルビアの花」をライブできくことになる、と。それで、彼女は歌の凄さに衝撃を受けて「女子高生が歌うような曲ではなかった」と思った、と(確かにね)。

この歌は好きですが、とてもウクレレ的とは言えない。ウクレレでは歌えない歌のひとつ。まして早川義夫のようにテンションを込めてやったらウクレレがばりんと破れそう。やっぱりこの曲はピアノかギターだな。そんなわけでギター「も」弾こうと思っている昨今。

2010年10月23日土曜日

「青柳茂 笹子追分人形 写真展」



「どっこいこーら、どっこいこーら、どっこいどっこい、どっこいな!」

というのは、19日火曜日に行った友人の写真家、青柳茂さんの「笹子追分人形写真展会場で披露された「三番叟」のかけ声。だらだらしてしまってなかなか仕事モードに入れない状態の時(僕はしょっちゅうですが)、このかけ声を自分にむけて発している昨今であります。どっこいな!

「笹子追分け人形」についてはこちら↓参照。
http://www14.plala.or.jp/sasanoko/sasago/ningyo/oiwakeningyo.htm

青柳君は甲府在住の写真家、古くからの友達で僕より少し年上なのに「君づけ」で呼ぶことのできる間柄であります。展覧会場には、甲州笹子の里に発祥した「千年の流れ・三百年の伝統」を誇る「笹子追分人形」の「かしら(首)」の写真が並び、それは密やかで薄暗い倉の中に長い間安置されているような人形を見るようであります。

僕は基本的に自分が生まれる以前のことには余り興味がないという人間ですが、ときおり遭遇する「伝統芸能・工芸」というものに対してははなはだ無知ではありながら、ははーっと敬服するところがあります。

なんというか、過去から何百年も受け継がれた来た「ゆるぎない」形式に基づいた「たじろがない」格というものを感じるんですね。昨日今日生まれたようなエンターテインメントには真似できない味わい深さがあります。

街道筋で発達した庶民芸能と言えども、追分人形の造作は単純に素朴とだけは言い切れない洗練を感じたな。人形の顔塗りに使う胡粉は貝殻の粉、仕掛けに使うのはクジラの骨、手の部分には猫革を使うとのこと。もちろん本体は「木偶」っていうぐらいで木製。プラスティックな文化とは相容れないこだわりの造型であります。

そしてあえて照明を落とした薄暗闇の空間にほの白く浮かび上がる老若男女百面相の人形たちの「かしら(首)」の写真群。しばらく対峙していると数百年に時空を隔てて、人形たちの「どっこいこーら、どっこいこーら」というくぐもった声が聞こえてくるようであります。


PHOTO BY SHIGERU AOYAGI


PHOTO BY SHIGERU AOYAGI

「胡粉の白さを表現するのに苦労した」というのは写真を撮った青柳君の弁であります。今回の展覧会レポートはなぜか「あります体」になったのであります。

写真展は日本橋「ギャラリートモス」(http://www.jpin.co.jp/saoh/)で29日(金)まで。「笹子追分け人形」に関する写真満載素敵な小冊子をゲットできますよ。興味を持たれた方は「どっこいな!」と行ってみてください。

同ビル1F(ギャラリー砂翁)で同時開催中なのは、スエーデン人、シモーナさんの水彩ドローイングによる「ポートレイト展」。こちらはごくコンテンポラリーでヨーロピアンでスピリチャルな作品群、こちらも「どっこい」面白かったです。

video
アップ動画は会場で披露された「三番叟」の模様。同じ「さんば」でもブラジルの「サンバ」とはえらい違い。基本的に三人で一体の人形を操ります。どっこいな!

2010年10月16日土曜日

加藤和彦読本



刊行が遅れていたCDジャーナルムック「加藤和彦読本」が発売された。あれからちょうど1年、本日10月16日は加藤和彦さんの命日。

今回は表紙絵と巻頭「クロニクル」イラストコラム、さらに楽譜浄書までやらせていただいた。素敵な仕事を任せてくれたこの本の編集人&制作者、浜野智さんに感謝したい。

表紙絵は最初から加藤和彦の長身スリムな全身像をトリミングなしで描こうと迷うことなく決めた。そして加藤和彦ファッションのアイコンとも言えるストライプの入ったダブルのスーツ、持たせたギターは彼のシグネチャーモデル、C.F.Martin D-45S KK KAZUHIKO KATOH(定価1,785,000円!)。柔和な表情の奥に潜む寂寥感は「モナリザの微笑み」を意識した(ホントか?)。

「クロニクル」のイラストコラムはエッセイ、レコード評を担当された中川五郎さん、小川真一さんが書かないようなミーハーな内容を意識して書きました。

晩年ポートレートに加藤さんがウクレレを持って穏やかに微笑んでいるところを描いたのは、もちろん僕がウクレレマニアであるからです。

楽譜浄書については大変苦労した。多くは浄書ソフトの使い勝手の悪さからだが、アカデミックな音楽的知識についてははなはだ自信がなく、ミスを指摘されるのがちょっと怖いが、もしミスがあっても大目に見てください。

理由は書かないが、CDジャーナルムック「読本」シリーズの継続を世界で50番目くらいに望んでいるのは僕です。書店へゴー、あるいはアマゾンでポチッ、「加藤和彦読本」ゲットしましょう。