2009年6月2日火曜日

そば本


常日頃お世話になっている編集人、浜野智さんが企画編集した『蕎麦処 山下庵』という本が出ました。「ばーそ手繰って30年」、蕎麦好きジャズ・ピアニスト山下洋輔氏が「庵主」となり、氏の周辺蕎麦好き著名人が蕎麦にまつわる一家言を語る、というもの。

http://www.amazon.co.jp/蕎麦処-山下庵-山下-洋輔/dp/4093878412

オビに「蕎麦もジャズも大人のもんだ!!」とあって、僕はいい年をしてあまり「大人」の感性を持ち合わせていない人間であるので、だったら「蕎麦もジャズも僕のもんじゃないなあ」という正直な気持ちがあった。

蕎麦=江戸っ子=粋、という図式で「そばにおける大人の蘊蓄」みたいなのを語られてもなあ、という気持ですね。蕎麦にまつわる「こだわり」というものも僕はあまり持ち合わせておらず、僕はまあ、諸事あまりこだわらない人間だもんで。

でも、一読してみたら、さすが山下洋輔氏周辺の「蕎麦者」はただ者ではなくて、書き手の一人、椎名誠氏の『殺したい蕎麦』における名店批判(「二十本ぐらいしかない」蕎麦を箸で「五回上げ下げするとすべて終了」という「せいろ蕎麦1260円」を食べて覚えたそば名店への「殺意」の話)はじめ、小癪な名店そば屋批判(量が少なすぎ、というものが多い)もけっこうあって面白かった。

一方、まずせいろに載った蕎麦を「目で愛でて」、「最初はそばだけ数本食し」、次に「つゆを一口すすり」、おもむろに「手繰り」始め、決して「山葵は決してつゆの中で混ぜず、蕎麦自体に塗り」、「薬味も蕎麦に乗せ」、つるっと一気に食し、「せいろの上の水分が少なくなったら日本酒を垂らしてほぐす」、といった蕎麦食いの「王道」も、山下洋輔氏と林家正蔵師匠の「トークセッション」で紹介される。

でも、結局「蕎麦は気楽に食うのがいい」という意見に収束するといった気楽でけっこうこだわらない内容なのでした。こだわるか、こだわらないか、いずれにしても蕎麦という食べ物は人に何か語らせたがる食べ物なのでしょう。

僕は紹介されたそば屋の地図を担当。正直、クリエイティブとは言い難い仕事でしたが、やっていてけっこうハマり、方向音痴のくせに地図を描くことは楽しかったのでした。一日に「地図描き」の仕事を数本やって暮らしていけたらいいのになあ、と夢想したのです。

是非一読を。


ところで、昔、一緒にバンドをやっていたハモニカ吹きのテツさんという人がいて(テツさん、元気かな)、当時彼は立ち食いそば屋でアルバイトをしていた。彼の得意技は、客が目の前に立った瞬間に、蕎麦かうどんかどちらを注文するかわかる、というものだった。

「おれはどっちかわかる?」と聞いたら、テツさんは「うどんだね、君は」と躊躇なく言われた。うん、僕はうどん派であります。

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