2009年4月27日月曜日

「特別支援学校」の最近事情

特別支援学校生が急増 教員・教室の不足深刻
http://www.asahi.com/national/update/0426/TKY200904250207.html
以下記事抜粋
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障害のある子どもが通う特別支援学校(旧盲・ろう・養護学校)の児童生徒が全国で増え続けている。文部科学省のまとめでは、08年度は11万2334人で98年度から28.5%増加。厳しい予算の中で教員採用が追いつかず、公立校の教員数が法定の基準を満たせない自治体は07年度で36道県に達した。教室不足も深刻化している。
 特別支援学校は、学校教育法改正で07年度にできた学校種。従来の盲・ろう学校、養護学校(知的障害、肢体不自由、病弱)に当たるが、法改正後は児童生徒を障害の種別で分けず、1校で複数の障害に対応できるようになった。
 文科省によると、児童生徒は90年代以降増え始めた。特に知的障害が対象の養護学校で生徒の増加が目立ち、98年度は5万3561人(全体の61.25%)だったのが06年度は7万1453人(同68.32%)に。08年度は他の障害との重複も含め、9万6924人に達している。
 一方、公立の特別支援学校の教員数は、生徒数や障害の程度などに応じ都道府県別に法で最低基準が定められている。文科省によると、07年度は36道県で計2656人不足。充足率が最も低いのは長野県の78%で、石川県の86%、群馬県90%が次いだ。
 児童生徒の増加について文科省特別支援教育課は「保護者が子どもの障害を受け入れ、就職も支援する専門教育を望むようになってきたためではないか」とみる。
 現場の教師には「注意欠陥・多動性障害(ADHD)など発達障害の子が増えている」との指摘も多い。普通学校で不登校になり特別支援学校を頼る例も目につくという。(杉浦幹治、太田康夫)
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昨日の朝日新聞朝刊一面トップの記事。
「特別支援学校」という名称に馴染みがない方も多いかと思われるが、いわゆる養護学校のこと。ちなみにかつての「特殊学級」も現在では「特別支援学級」と呼ばれている。つい最近のことだ。

今回、「発達障害」に関する本を書くとき、こうした障害にかかわる名称の表記にあたっては神経を使った。そもそも「障害」を「障がい」と表記する傾向も近年多く見られ(特に企業が使用する際に目立つ)、これについては理解するところもあるが、本当に当事者の方々がそうした表記を望んでいるのか疑わしいところもある。どこか偽善、事なかれ主義の匂いもしないではない。

「発達障害」という言葉につていても、これは英語のDevelopmental Disorders, あるいは、Developmental Disabilitiesの訳語であって、これだけ聞くとどういう障害なのか、一般の方々には説明を(しかもていねいなそれを)要するだろう。

「障害(特に軽度のメンタルな障害)も個性である」という言い方があって、賛否両論あると思うが、僕はこれに同意するものだ。しかし、「個性」と言い切ってしまえば、「制度」の中で排除されかねない危惧もある。

僕は、「境界児」と目される子どもたちが、どれだけ「障害」という言葉に拒絶感があって、自己否定につながる気持を持つに至るかを知っているので、彼らを「発達障害児」と呼称することには少なからず抵抗感を持ってきた。

前回の日記で、本の表題を『発達障害 境界に立つ若者たち』と、「分かち書き」にしたのはその理由からだ。それでも「発達障害」という言葉を題名に入れたのは、出版社の意向もあるが、発達障害児を持つ母親から「(本を探すとき)障害を特定した題名の方がいい」という意見を聞いて決断したわけだ。

障害の名称や病名の新しい表記ーー「認知症」や「統合失調症」などもこれにあたるがーー、が近年盛んに行われていることについて、僕は前述のように偽善めいた「お役所的事なかれ主義」の匂いもあり、当初はなんだかすっきりしない気持もあった。

しかし、それは健常者側の言い分。この傾向は障害を持つ当事者に対する気配り、配慮が行き届いてきたことからと受け止めることにしたいと思う。呼称をあらためることにより、当事者や周辺が「障害」をかつてより抵抗感なく受け入れることができるようになれば、それは良いことに違いない。

朝日のこの記事、「特別支援学校生、急増」の背景に、この新表記の理由も多少あるとも思われるが、公教育より先んじて(手前味噌で口幅ったいけれど)彼らを受け入れてきた私設、私立学校に入学させる保護者の経済力がここに来て急減したことが主な原因だと思う。特に今年度の、僕の知る境界児を受け入れるいくつかの学校は、入学者数をかなり減らしているようだ。反面、定時制高校への入学が増えていると聞く。

この記事では08年度の入学者数を「急増」の根拠としているが、09年度の入学希望者はさらに2割り増しくらいになるのではないか。こういう状態では入学希望者を全員受け入れることは非常に困難だろう。

この記事の関連で、急増する入学希望者に対処するため、長野県では医療系の専門学校生を講師として採用しているケースを紹介していた。うーん、どうなんだろう。彼らがどういう授業を展開しているかわからないので何とも言い難いが、安易な教員不足の穴埋めであれば、かえって問題となるケースもあるかもしれない。

また、こうした状況から「障害は軽度な場合は受け入れを断る自治体も少なくない」とあった。「軽度な障害」であるほど、「二次障害」に陥りやすく、社会的な自立が困難であり、より深い理解と支援が必要であることを僕は本に書いた。

「特別支援学校」への入学を希望する「軽度」の障害を持つ保護者は、「普通学校」の支援体制、理解への不備を入学希望の理由のひとつに挙げているという。僕は「軽度の子」は普通級で学ぶべきだという持論を持っている。それには「特別支援学校」の充実をはかると同時に、普通級での支援体制を強化していく必要があると思っています。大変だろうが、普通級の先生、がんばれ、と言いたい。

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