2008年7月6日日曜日

やれやれ×2「その6」

かつてロックの黄金時代、60年代から70年代にかけて活躍したロック・プロモーターでビル・グレアムという人がいた。伝説のフィルモア・ウェスト、フィルモア・イーストの設立者であり、あの「ウッドストック」の仕掛け人でもあった。

彼が、ロック関係者を対象にした何かのインタビューで「人間にとって一番大切なものは何か?」と聞かれ、多くのミュージシャンが「LOVE」だ、と答える中、それは「JUSTICE」であろう、と答えたのを覚えている。*JUSTICEーn. 正義; 公正(な言動); 公平(な取り扱い); 正当, 妥当; 適法(性); 司法, 裁判; 当然の応報, 処罰

ちょっとシニカルな笑顔を浮かべながら、「ビートルズだったら、LOVE,LOVE,LOVEだろうけどさ、僕が一番大切だと思うものは、 JUSTICEだね」と。ユダヤ人であった彼の出自も関係しているかもしれない。以来、僕はこの言葉に感銘し、例えば「愛は地球を救う」なんて、そんなことはねえよ、ふざけたことは言わないで欲しい、と思うひねくれ者になってしまった。

いや、僕は愛に溢れる人間ですよ、たぶん。でもね、愛というのはいろいろあって、時には「惜しみなく奪」ったりしますからね。これで天にも昇るような良い気持ちになったり、逆に修羅の思いをしたりすることはあっても、絶対地球を救ったりはしません。

脱線しました。直ったものと100パー信じていたところ、急転回、まったく不具合はそのままで、アップル修理サービスから戻ってきたiMacG5 について、理不尽な対応をされてきたアップル・サポートセンターとの戦いの顛末、続編であります。ビル・グレアムが人間にとって一番?蜷リなものだと信じる「JUSTICE」の名において戦う(別名:ゴネる)決意をしたのが昨日であった。

前回日記で登場した「低姿勢卑屈サポセン担当男」の「誠に申し訳ありませんが、再度有償手続きの手配を取って頂いて…」という言葉に対し、「いや、それは納得できません。有償修理の連絡が来なかったことで、今日、確実に直ってきているものと信じ、今日からの予定を立て、パソコンが必要な仕事も受け、本当にほっとしていたところ、こういう非常識な対応をされ、また再度手続きし、1週間待てと言われても納得はできません」と僕は言った。ちょっと強い口調だったかもしれない。エキサイトしてくるのが自分でもわかっていた。

「仰ることはごもっともですが…」と、あくまで低姿勢路線は変えず、しかし肝心なところでは絶対に折れないサポセン男に対し、「まあね、あなたに個人的な恨みなど何にもありませんが、修理が必要なのは明らかなのに、連絡もせず、不具合を残したまま、返送するなんてサービスがどこにありますか!」。かなり強い口調だったと思う。僕はその気になれば声はでかい方だし。

「今回の不具合に関して有償修理が必要になったということも、リペアエクステンション・プログラムの紛らわしい表記の仕方から見てもすぐに納得できるものではありませんが、『無償修理の対象です』と言われ、『修理が完了しました』と言われて、返送されてきたものがまったく同じ症状で不具合があり、また手続きを取り、また1週間待たされることについて責任を取っていただき、あくまで無償で修理をお願いしたい」と、僕は譲らなかった。

ここで、「低姿勢卑屈サポセン担当男」が何度目かの「少々、お待ちください」の後、「申し訳ございませんが、お客様の担当を代わらせて頂きます。お手数ですが、いったんこの通話を終了し、もう一度コールセンターの方へおかけ願いますか」と。キレたね、ここで。「え!? またコールセンターにかけて30分以上も待たなければいけないんですか!? こちらに電話してもらうことはできないんですか!? おい、ふざんけなよ、てめー!!」

まあ、「おい、ふざんけなよ、てめー!」とは言わなかったけれど(僕はそういうキャラではないんで)、ホント心の中ではそんな感じ。「ああ、ああ…」とサポセン男はちょっとうろたえながら、「あの、お時間がかかりますが、それでもよろしければこのままお待ちいただけますけれど」と。「待ちます!」と僕。

受話器を持つのをオクさんに代わってもらって、20分くらいも待たされただろうか、「担当の○○です」、新担当女性が電話口に出た。「お客様のご希望はあくまで無償修理サービスをして欲しい、とのことですね」。「事務的な」という形容詞がぴったりとはまる、感情を抑制した声のトーン。「強者」の予感。

「そうです。だって、『有償修理が必要な場合は連絡する』と言ったのに、それもなく修理完了の知らせが来て、開けてみたら何も状態は改善されてなかった、なんておかしいでしょう?」と僕は言った。

「連絡をしなかったことについてはこちらのミスです。その点については誠に申し訳ございません。でも、お客様のパソコンの不具合はリペア・エクステンション・プログラムが保証する電源ユニットに関する問題点ではないことがわかりましたので、申し訳ございませんが、有償修理となります」。

「申し訳ございません」と言いながら、見事に「申し訳ございません」の気持ちのかけらもない話し方。この女の声を聞きながら、僕の頭に飛来した言葉は「いけしゃあしゃあ」。「蛙の面にションベン」という言葉があるが、その蛙の面のような声、トーン。

急に負けそうな気がしてきて、ちょっとひるんでしまいましたね。卑屈低姿勢男に説明した、僕としては「まっとうな」無償修理を希望する根拠を(既に敵は聞いているだろうけど)再度説明に及ぶが、卑屈低姿勢男の場合は「ごもっとも」、「仰るとおりで」、といった相づちがあったのだが、この蛙女は、ただただ黙って聞いている。非常にやりにくい。サポセン歴戦錬磨の上、編み出された戦術だろう。

「あなたは、連絡をくれなかったことについて『申し訳ない』と言うが、そうであれば有償であるところ無償にするのが企業としての『申しわけない』の形でしょう。責任というのを形にするのがちゃんとした企業ではないんですか」と言ったが、「規約上、そういうことはできないことになっております」と、いけしゃあしゃあ。

いくつかやりとりがあったが、敵はまったく隙を見せない。約束された有償修理の連絡がないまま、返送したことの不備は認めるが、無償修理の要求には応じられない、それは規約だから、の一点張り、「蛙のトーン」で。「アップルの製品が優秀であることは認めるが、安くない製品を購入してこういうサポート体制であることがわかり、アップルには非常に失望した」と言わなくても良いようなことも言ってしまい(で、彼女はこういうことを、反論するわけでも同調するわけでもなく、黙ーって聞いているのね)、僕は負けそうな予感がした。

「連絡が来なかったことについては責任を認めるが、無償修理はできない、それは規約だからだと」、「はい」、「規約、規約って言うのは、あなたでは無償か有償かの判断ができないからなんですか」と挑発してみたが、「これは私の判断です」と間髪を入れず。

しばらく沈黙があって、蛙女が「私ではこれ以上のことは申せません。お客様があくまで無償修理をご希望されるのでしたら、週明け月曜日に再度ご連絡ください」と言った。文字でこのセリフを読むとまったく問題のないしっかりした敬語だけど、非常に慇懃無礼な言い方だった。僕のような「ゴネ・カスタマー」を何十人、何百人と相手にしてきたであろう百戦錬磨の「蛙にションベン声」。

「え? 月曜にまた?」、「はい、お客様のご相談については別の部署の応対となります」。ここに来て、僕の「ゴネ度」の格が上がり、さらに強力なクレーム処理班が相手となるようだ。有償修理で妥協しなかった僕は、とりあえずこの蛙女との勝負、「勝った」と言っていいのだろうか、いや、負けたわけではないが無償に持っていって勝ったわけでもない。ドロー決着付かずということだ。時間の無駄だったという点に置いて、僕の方が分が悪いな、彼女にとってはこれが仕事だから。

「今、その部署の方とは話しができないんですか」、「はい、土日は休日となっております」。ここで僕は一計を案じた。「もし、有償修理を今の時点でお願いするとしたら、最短でいつピックアップに来てくれのか」と聞いた。「それでしたら週明け、月曜日になります」と。「例えばどうでしょう、いずれにしても修理は必要だし、僕も一日でも早く修理して欲しい。有償になるか無償になるか月曜日に決着すると思うから、ピックアップの手配だけはしてはいただけないか」と。ここまでの経過からそのくらいは融通してくれるだろうと思ったのだ。

甘かった。「それはできません」、「規約だからですか」、「そうです」ときっぱり。「じゃあ、月曜日に連絡を頂けるんですね」、「いえ、再度コールセンターにお電話してください」、「また、繋がるまでずっと待つんですか」、「申し訳ありません」、「規約だからですか」(ここらで僕も苦笑いしながら言いましたね)、「そうです」、向こうは決して笑ったりしない、淡々と。

アップルの規約というのは一切の融通というものを排除することらしい。融通であるとか、曖昧であるとか、そういうヒューマンな部分が最も苦手な、さすがコンピュータを扱う会社の規約であると思ったね。そしてこのサポセン女性、絶対ブスだな、と確信ししながら、受話器を置いたのが午後2時を少し回ったところだった。折しも関東地方は真夏日、熱闘3時間の戦いはドローで終わったのだった。


今回も長々と書いてしまいました。「決戦は月曜日」ということです。しかし、今度相手にするのはサポセンではなく、何だっけな、部署の名前は聞いたけど忘れた。とにかく、たぶんアップル・クレーム処理の上層部でしょう。先に言っときますが、たぶん勝ち目はないです。僕も流れでこうなってしまったけど、そんなに押しの強い人間じゃない。ただ、日常生活のこうしたところにJUSTICE=まっとうなこと、が通じない?「界が多々あることを認知していながら、基本的に、そんなもんだよ、しょうがないかな、という姿勢で過ごしてきた人生、言うべき事は納得?ェできるまで言うべきだ、という精神状態に何故かなっておるのでした。まあ、はっきり言ってお金が絡んでいることが大きいけれどね。笑

0 件のコメント: